数学を日本語に変換
前回は数学嫌いの方には頭の痛くなる記事ですみませんでした。
今回の記事で解説をする予告をしていたので、数学嫌いな方にも読んでよかったと思っていただける内容にしたいと思います。
ということで、ものの考え方に関するお話も含めて進めていきます。
以前「日本語は難しい⁉」という記事を書きましたが…
数学も解くためには、読解力がポイントだと私は思っています。
例えば「今日は寒い」と感じるとき、「昨日より最低気温が5℃も低かった」という表現をしますが、これが数学の世界では…
昨日の最低気温が6℃、今日の最低気温が1℃の場合「-5(増加)」というややこしい表現をします。
式で表すと「1+(-6)=-5」、通常は「1-6=-5」と表し、天気予報で前日比「-5」などという表示を見られたことがあると思いますが、アレです。
小学校で習っていた算数と違って、中学数学でまず習うのがコレなんですが、いきなりこのややこしさが苦手と感じる第一関門です。
「余るor不足」「増加or減少」などという日本語を数式に変換するのは、紛らわしいですが、数学を日本語に変換の方がやりやすいかもしれません。
それでは問題を一緒に考えてみましょう。
何の役に立つ⁉
前回の記事、解いてみられた方いらっしゃいますか?
再度、問題を載せてみたので、初めてご覧になられた方で解いてみたい方は、下に解説を載せているので、ここでストップして解いてみてくださいね。
中2の二男が通う学校の数学中間考査の一部抜粋です。
そもそも、x軸、y軸とは何でしょうか?
グラフとか傾きとか、これを学ぶことで人生のどんな場面で役立つときがくるのでしょうか?
買い物、月々使用料、お出かけの際の交通手段やルートなど、得、都合が良い、メリットなどを考える場面で、数学は何らかの形で絡んでいます。
このグラフの場合は直線=一定の周期で増えるか減るかを表しています。
グラフが右上がりならx値とともにy値も増えている、グラフが右下がりならx値が増えるほどy値は減っているとわかります。
x軸の単位が時間、y軸の単位が何かの金額や重さや距離だとすると、一定の周期(時間、日、月、年など)でy値にどれだけの変化があるかを見て理解できるだけでなく、大きな買い物や大掛かりな仕事をするときの金額や時間など、かけ離れた数値を算出したりどちらが良いか比較したりすることに役立ちます。これを応用すれば、直線グラフだけでなく不定期なパターンにも対応できます。
車を買うとき、車体価格が安いけど燃費の悪いA車と…
車体価格が高めだけどA車にはないオプションが付いていて燃費が良いB車…
あなたはできればB車を買いたいと思っているとき、A車との差額分が購入からどれぐらい経ってお得だったと言える計算になるか、考えられたり家族を説得したりできるとカッコいいですし、ディーラーなどとの価格交渉でも役立つかもしれませんね!?
解説
七星直筆、あちこち走り書きで見にくくすみません。しかも、他の問題のグラフが端に写っていてごめんなさい。
※解説の青字がポイントとなる考え方、赤字が答えです。
(1)点Aはx軸上にあるということはy=0、さらに直線ℓとの交点なので、y=2x-4にy=0を入れるとx=2となり、求める点Aは(x,y)=(2,0)
(2)直線mの傾きが「-1」と問題に書いてあるので、この式はy=-x+bと表せます。傾きとは「変化の割合」とも言いますが、xが1増加するときyがいくら増加するかという値のことですね。傾きが-1ということは、xが1増加すると、yは-1増加する右下がりの直線グラフで、つまりx,yは符号が違い絶対値が同じということです。点B(8,0)を通るこの直線の切片(y軸との交点のy座標値)=bは8となり、答えはy=-x+8 これが解けたことによって、点D(0,8)ということもわかりましたね。
(3)点P座標は、直線ℓと直線mの交点なので…
2x-4=-x+8(交点ということは2つの直線のyの値は同じなので、イコール関係となります)
これを解くとx=4となり、y=2x-4とy=-x+8、どちらに代入しても、y=4となり点P(4,4)
(4)△PCD面積…三角形の面積の求め方は→底辺×高さ÷2 ですよね。
この三角形の場合、底辺と高さはどこでしょうか?
三角形には正三角形、二等辺三角形、直角三角形など、いろいろな角度や向きのものがありますよね。向きを変えねば気付きにくいものもあるので、数学の図形はピンとくるまでいろいろな方向から向きを変えてみることがポイントです。
高さとは、底辺に対して頂点から垂直に引いた直線の長さです。
上図のように、平行な直線aと直線bの間の高さは、どこを測っても同じです。
直線b上に共通の辺を持つ赤、青、緑の三角形がある時、共通の辺を底辺とすると、全ての三角形の頂点は直線a上にあり、つまりどの三角形の高さも同じなので、同じ底辺×同じ高さ÷2 で、面積は赤、青、緑とも同じですね。
△PCDの面積を求めるには、上図を反時計回りに90°回転=あなたが頭を右に傾けることで見えてくる「底辺CD」と、点Pから底辺におろした「補助線PE(高さ)」を使えばよいのです。
このグラフに単位はないので、座標の値(1目盛り)をそのまま長さとします。
点D(0,8)、点C(0,-4)なので、原点Oを挟んだそれぞれの長さ8+4=12 これが底辺の長さとなります。
高さは△PCDの頂点である点P(4,4)から底辺に対しておろした垂線なので、PE=4です。
よって、12×4÷2=24 となります。
(5)点Pを通り、△PCDの面積を2等分する直線の式
これはわかりやすい日本語に変換します。三角形の面積が半分になればよい、ということは、頂点Pはそのまま、何が変われば面積が半分になるか?
底辺×高さ÷2 の「高さ÷2」をそのまま残すと、底辺が半分になれば面積も半分です!
点Cからも点Dからも同じ長さになる(x,y)=(0,2)と点P(4,4)を通る直線の式を求めればよいのです。
求める直線式の傾きはわかりませんが、y軸座標「2」を通るので、y=ax+2として、これに(x,y)=(4,4)を代入するとa=1/2(傾き)がわかり、求める直線式は y=1/2x+2 です。
(6)四角形PAOD面積は、補助線PEで区切った上部(直角二等辺三角形)+下部(台形)で求められます。
ここで、「台形面積の公式どうだったかな?」と思い出せない人も大丈夫!
公式は丸覚えする必要なく、仕組みや特徴や原理を理解していれば、正解にたどり着く別解は存在します。
一応、2パターンの解説をします。
①台形→(上底+下底)×高さ÷2=(4+2)×4÷2=12 / 直角二等辺三角形→4×4÷2=8
台形と直角二等辺三角形の面積をたして、「20」が答え
②上図のグラフ「★」印の付いている三角形が同じ面積であることに気付けば、正方形と直角二等辺三角形の和で求められます。
なぜ★印三角形が同じ面積かというと、底辺と高さが同じ長さだからです。
正方形と直角二等辺三角形の面積をたして、「20」が答え
まとめ
私は塾講師でも家庭教師でもないので、イレギュラーな考え方を教えないでほしいと思われたらごめんなさい。でも、このような記事を書いた理由は…
ものは見る方向や考え方をちょっとひねることで、見えてくるものが変わったり、難しく捉えなくても楽に進む方法が見つかったりするというお話をしたかったからです。
それにしても、本当に長くなりすみません。最後までお付き合いくださった方、ありがとうございました。
でも、このようなことを今まさに学んでいる中学生には、きっと理解できる内容だったと思います。
私たち大人も、学生時代に勉強が楽しいと思っていた人ばかりではないです。
でも、大人になり、また学びたいと思う人がいるということは、どんな分野であれ、そこに魅力があるから、楽しいから、得られるものがあるからだと思います。
同じ学ぶなら、おもしろくないな、何の意味があるのかなというより、楽しみながら学びたいですね。